2008年6月26日木曜日

1X07A162 堀越 理沙 A+++








木の上にのぼり、川べりの村の様子を眺めている。自由にイマジネーションをふくらませているようでいて、決して中世の雰囲気からははずれていないのがよい。完全な透視図法ではない画法によって、中世の絵画のような雰囲気を高めている。遠くの家か教会が燃えている。(池村)

1X07A114 竹花 洋子 A+++








プラモデル化された中世の農村。俯瞰図も地盤ごとに切り取られ、構築的、立体的に描かれている。「生活を創造し、克明に描く」の「克明に」の意味を、新たな視点からとらえなおした作品。プラモデル化による、立体的な分析の方法が、たいへんユニーク。(池村)

1X07A122 田村 正 A++








「想起の中に生きる。あの時、まだ実世界は想起に満ちていた。」と但し書きがある。掌を合わせてお祈りをしているドローイングと、そのシルエットの形に聖書の文章を書き込んでいるのだが、それによって一枚の絵が様々な連想を生む。小さな声であるいは心の中で唱えている祈りが聞こえてきそうである。(箕原)

1X07A112 TOMOKO TAGUCHI A++








銅のエッチングのような風合いとタッチで中世の農村の町と、そこに住む老人の顔を描き出している。とても味わいのある絵で、しかもそれが課題で与えられた文章の雰囲気とマッチしている。(箕原)

1X07A042 YUMA ONO A++








「ねどこ」克明に描かれたなかに農民の貧しく疲れ果てた感じがよく出ている。一日中労働をした後で睡眠に入る前のホッとした一瞬であろうか。明日のために深く休まなければならないのかもしれない。薄茶色した再生紙に描いているところも効果的である。(箕原)

1X07A119 田辺 真由子 A++








動物の足跡をテーマに表現されている。人、人物の行動を描写する姿勢は、今和次郎の考現学的な視線が感じとれる。しかし、足跡の規則性を発見するまで至っていない部分は残念である。しかし、中世をイメージで語るのをやめたことは、他の作品と明らかに異なる点である。いい切り口であると思う。(日置)

1X07A161 堀井 将太 A++








「農奴の一家」。階級的に低い位置にあった人々の貧困の様相が、デフォルメされて描出されている。「紐」のように、垂れ下がった彼らの腕が印象的である。デタラメのような線描の周辺の痕跡が、その状況を強化しているかのようだ。(入江)

1X07A015 石井 千晶 A++








中世の美しい、楽しい農村の風景が描かれている。中世というと、暗黒時代で悲惨な生活を人々はおくっていたようなイメージがあるが、いろいろなことがありながらも、実はそれなりに楽しい生活をおくっていたのかも知れない。そんなことを思わせる、明るい作品。(池村)

1X07A174 村岡 拓見 A++








中世の風景画にはまだパースの概念がない。つまり空間の認識よりは描く対象の重要性が構図を決めていく。風景を真上からとらえることは現代的な視点である。拡大解釈すれば神の視線をもって人々をとらえている。その意味で、中世を感じさせているのかもしれない。とても刺激的な構図といえる。(日置)

1XO7A184 山本 龍太 A++








中世農民の生活を、開口部廻り、家と家の隙間などに整理してまとめている方法が、視点が明確であることが良い。入口と内入口、窓とその前の樽、入口でのやりとりや窓廻りでの家族のやりとり、そして家々の隙間が近景から遠景へと奥行を深め、全体の構図に起伏を与えている。(入江)

1X07A053 川里 翠 A++








エルトン村の生活の記録をていねいに読み込んで描いていて好感がもてる。農民たちと家畜たち、川や畑などの背景と、様々な生産、生活の動作、所作を追い詰めて描くことで、当時の農村の賑わいが伝わってくる。(入江)

1X07A159 M.HORI A++








中世の村の喧噪が、密度を高めて描かれている。下町的雰囲気。猥雑なエネルギーが充満している様子がわかる。ガラス瓶など、時代的におかしい部分があるが、それはそれでよし。(池村)

1X07A067 クマガイ A++








中世にはまだ印刷技術は登場していないが、複製技術としての版画をとり入れたのは大変意味深いと思われる。しかし、描かれているモチーフが、少々中世の風景と異なる気がする。もうすこし表現力があれば、評価は上がると思う。(日置)